● 和解 ●
 松本零士氏と西崎プロデューサーの裁判上の争いは、2003年7月29日(当事者間で実際に和解が成立したのは7月5日か?)に両者の裁判外の和解(民法 第695条)により終結しました。
 和解内容については株式会社エナジオのホームページに全文が公開されています。*現在はサイトが閉鎖中です。和解の内容はこちらです。
 
 この両者間(株式会社ベンチャーソフトを含む)の和解内容及び、確認書を平たく言い換えれば
<和解書>
@松本零士氏とベンチャーソフト社は、別件映画の宇宙戦艦ヤマトシリーズとは関係の無い新作品の製作を、西崎義展氏は、同宇宙戦艦ヤマトシリーズを利用した宇宙戦艦ヤマトの新作を作る権利をお互いに認める。
A和解締結と同時に、両者は一連の相互間に存在していた訴訟を全部取り下げる。
B@の新作を作るに当たり、両者は自分の権利を使って、相手の作品の製作を邪魔しない。
C松本零士氏は別件映画の絵画面での著作権者であると同時に、別件映画は西崎義展氏との共同著作物である。
   西崎氏が宇宙戦艦ヤマトに関連した新作を製作する場合は、設定・デザインとして松本零士氏の名前を明記する。
   著作者人格権は、西崎義展氏が優先的に使用できる。
D@の製作に当たっては、松本零士氏とベンチャーソフト社は、別件映画の続編や、新作になる作品は作らない。
Eこの和解書で決まっていない事は、互いに十分に話し合い、ファンの意向も考慮する。

<確認書>
@西崎義展氏及び氏が許諾したものが宇宙戦艦ヤマトに関連した新作を製作したときは、松本零士氏は自分の権利を行使して邪魔しない。
A松本零士氏は、自分の権利を行使して別件映画を利用した商品を新たに発売する場合、西崎義展氏の許可を必要とする。
となり、松本零士氏は絵画の著作権者であっても、独自に別件映画のキャラクターなどを他作品で使用する事が出来なくなり、松本零士氏とベンチャーソフトが共同で製作しようとしていた「宇宙戦艦ヤマト」の新作は、完全に否定されました。
 
 やっとこれで宇宙戦艦ヤマトのゴタゴタも収まった・・・。
 どれだけのファンが、その様に思ったでしょうか?
 この和解がアナウンスされた直後の両氏のコメントは、私達に不安を残すものでした
 
 西崎プロデューサーがファンを思っての和解である旨と、製作する作品に松本零士氏の参加を希望する旨のコメントを出したのに対して、松本零士氏は和解について、「完全に納得いくものではないが、クリエーターとして最低限の権利は守れた」的なコメントをし、西崎プロデューサーとの協調路線には触れなかったのです。
 
 人が相手側を一方的に憎んだり、批判したりするのは極めてまれな事と思います。憎まれる側にも落度があったのではないか?松本零士氏の尋常ならぬ西崎プロデューサーへの思いは、私達には理解できないのかもしれません。(私怨は、相当以前から有ったと思われます。)
 
 そうしたスッキリしない和解のアナウンスの後、今まで傍観していた兵が勝者の剣を向けてきました。そのタイミングの良さは、誰かと強調しているのではないかと疑いたくなるような、絶妙なものでした。
 ただこんな予想も出来ます。もし松本零士氏が裁判で西崎プロデューサーに勝訴していたら、傍観の兵=株式会社東北新社はそのまま傍観を続けただろうと・・・。あくまでも予想ですが。
 

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「宇宙戦艦ヤマト」の
著作権者・原作者は誰か?

H14. 3.25 東京地裁 平成11(ワ)20820等 著作権 民事訴訟事件
として争われた民事訴訟。

西崎義展氏がアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の著作者人格権を侵害し、松本零士氏の名誉も傷つけたとして、松本氏が訴えた。
これに対して西崎氏は、自身が「宇宙戦艦ヤマト」の著作者であることの確認を求めて反訴した。

裁判の大きな争点としては、「宇宙戦艦ヤマト」を創作したのは誰か?と、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の大元となる『原作』は存在するか?があり、1審判決では西崎義展氏の主張が認められた。
名誉棄損に関しても、松本零士氏には「名誉毀損となる理由が存在しない」と退けられた。